「21世紀型商売戦略」(#014)戦略形成への道 (2)
『日刊「WEBのツボ」 ~次世代WEBマーケティングを読む~』に掲載
http://www.soho-union.com/
【○】本日のお題 「21世紀型商売戦略」(#014) ━━
咲本@時計台ネット
▽ 戦略形成への道 (2)
先週のコラムでは、戦略を「形成」していくための数々の条件をお話致しました。
今回はその中の条件として提示した、
6.経営の基本理念を見つめ直し、明確にし、それを末端のパートさんを含めて、それに沿った行動が出来るようにする。これは戦略形成にとって、重要な要因となります。雪印乳業のように経営理念でエエ格好をしながら、実践部分でボロボロであれば、意味がありません。徹底的に社内に行き渡っていて、スタッフ全員がそれを心の底から信じ切っている必要があります。場合によれば、倫理的に問題であっても構わない場合もあるようです。例えば、フィリップモリス社はいくら社会的にバッシングを受けても、社員一同、タバコは素晴らしいものであるということを深く信じ切っているようです。とても業績好調です。
という点について補足説明致します。
と言いますのも、上記の点について実践出来ている企業というのは、ほんの一握りだけなのではないかと思われるからです。
まずは、雪印乳業の企業理念を見てみましょう。
http://www.snowbrand.co.jp/brandmsg/ms2.html
私たちは「乳」をはじめとして、健やかな土と自然がはぐくんだ食品を、いきいきとしたおいしさに仕立ててお客様にお届けします。そしてそのことが、お客様にとっての食べることの楽しさ、健康、うるおいのある生活につながっていくことを、かけがいのない誇りと考えます。さらに単に医学的な「生命」だけでなく、人々の尊厳・希望・活力の姿である「生命」を輝かせるお手伝いができることを喜びとしていきます。
Webページにはこのように発表されています。
しかし、本当に経営陣からスタッフ一同全てにわたって、この企業理念を本気で信じ切って、日々の行動ひとつひとつに反映していると言えるのでしょうか?
この企業理念をベースに、なぜ、バターの品質保持期限延長という行為が発想されるのでしょうか?
私はこのような企業理念を作ってみても、何も意味をなさないと思います。
それに対して、例えば、ソニーの企業理念は、やはりさすがと言えるものです。とりわけ、戦後間もない1946年に創業者、井深 大氏が書かれた設立趣意書は、今に至るソニーにまで基本的スピリッツは受け継がれて来たものであることは、私のような部外者にも良く理解出来ます。感動的です。
http://www.sony.co.jp/SonyInfo/CorporateInfo/History/prospectus.html
長文ですので引用は致しませんが、まだ何もこれと言える事業の存在しなかった時点で、しかも戦後間もない時期に、このような「会社設立ノ目的」や「経営方針」を明確にさせ、組織全員に深く浸透させつつ、実践の場での行動原理として行ってきたからこそ、今のソニーがあるわけです。
また、2000年に大きな事件となりました参天製薬の目薬毒物混入恐喝事件におきましても、参天製薬の企業理念が、単なるお題目ではなく、企業に活きていたために、郵便物が届いた翌日には、全国の目薬店頭回収措置を講じられたものだと認識します。
http://www.santen.co.jp/com/seihin_kaisyu.html
これが雪印乳業であれば、個人的な予想ながら、郵便物の消印によって東京からの郵便物だったなら、関東圏だけ回収という措置だったのかもしれません(笑)
尚、参天製薬の株主に対するアニュアルレポートにも、社長として下記のように発言されています。
http://www.santen.co.jp/share/2000annual_j/j04.pdf
なお、当期終了後に発生した重要事項として、「一般用目薬の全製品回収」があります。異物を混入した一般用目薬が6月14日に当社宛に送付され、金銭的要求がありました。当社では消費者の方々の安全こそ最優先と考え、即刻情報を開示すると同時に、一般用目薬の全製品回収を決定し実施しました。一連の意思決定は、「患者さんや患者さんを愛する人たちを中心として、社会へ寄与する」という参天製薬の基本理念に基づいて行われました。当社は、将来的に同様の事件の再発防止のため、不正加工防止策として一般用目薬の外箱を、「ひとみ・すこやかラッピング」の新包装で販売を7月より再開いたしました。
このような基本理念の社内的浸透によって、下手をすると負のイメージとなりかねない思わぬ状況を向かえることになっても、逆に、イメージアップに繋げて、決算報告を見る限りは、業績がアップしています。
フィリップモリス社のことは省略致しますが、いずれに致しましても、競争力の高いいわゆる成功企業と言われる企業には、そのようになるに至る理由があってのことであって、たまたま当たっただけの企業では、長続きは致しません。
世の中の変化も非常に激しい、経済に右肩上がりの流れも感じられない、どちらにしましても、バブルの頃と同じようにビジネスを続けて儲けることが誰の目からも不可能であって、大企業の倒産が不思議でなくなった時代にあっては、過去の経験に引きずられることのない、柔軟な未来志向の発想が、企業に要求されざるを得ません。
それをどのように実現するのかという第一歩が、私は企業の基本理念の明確化と浸透であると考えます。
それは形だけのものではなく、スタッフ全員が深く納得(というより内面化)出来、100年経っても揺るぎないものでありつつも、具体的な方向性が認識出来るものであります。
そのようなものが企業内に存在すればこそ、やってみないとわからないようなイノベーティブな企画にも、基本理念と合致していることで邁進出来る社内的パワーが得られます。
また、一見トレンディな企画があったとしても、基本理念に合致していなければ、実践しないとの判断も容易です。
強いブランドがあくまでも強いのは、この点がしっかりしているはずなのです。
基本理念が明確で浸透している企業は、未来志向的な事業を行うのか行わないのかについての迷いがなくなり、むしろ判断が明確化します。
組織として、若手の社員であっても現場での暗黙知を含めての創発的発想を、企業として受け入れ、それを活用していくにあたって、企業の人材がどうなるのかやってみないとわからないということで、普通なら発言を控えるであろうことを吸収して活用出来る組織構築の一番最初にすべき企業の取り組みが、この基本理念の構築・浸透です。
未来志向となればなるほど、やってみないとわからないことばかりとなってしまい、そのような状況で、やるかやらないのかの判断を下せるのは、明確化され浸透した、企業の基本理念があるからなのです。
佛教もキリスト教もイスラム教もオウムも、全てオッケーという企業は、組織に所属する全員が迷うことになるという意味では、フィリップモリス社の事例ではありませんが、うちの企業は○○教だと、スタッフ全員に浸透させ、それについてどうしても不服な方は、企業から去っていただくという営みが、今最も必要とされていることは間違いのないところだと、率直に感じます。
次回もこの論議を深めていく予定です。
【プロフィール】
咲本 勝巳(さきもと かつみ)
1965年京都生まれ。マーケティングという言葉にとても違和感を持つマーケティングのコンサル屋。
先週申していたイザコザも解決した様相となりました。
二度目の14日金沢講演は、ホント、楽しみにしていただけのことがありました。
市内で最もオシャレな商店街だけあって、商店主のレベルが高いです。(地価も高し)
某姐さん、某花屋さん、某カバン屋さん、某建築家さん、某役人さん等々、ツワモノ揃いでした(笑)
3月18日は「SOHO Kansai 2002シンポジウム」にパネラーとして出演させていただきます。このメルマガ配信時にはイベントが終わっているのかな(謎)>担当石井さん
3月20日は日本新薬(株)様社内セミナーで「グレート・カンパニーへの道~ナレッジ・マネジメントの未来」と題して講演させていただきます。
目下、講演内容を試行錯誤中。講演ギリギリまで練る予定。
http://www.sakimoto.biz/
mailto:sakimoto@tokeidai.net
(ご意見・ご感想・ご提案お待ちいたしております)
(2002/03/18)









