2003/7/28 月曜日

[はじめに]会社勤務コンサルとSOHOコンサルとの違い

Filed under: コンサルティング — 咲本 @ 21:39:25

『日刊SOHOのツボ!』に掲載
http://www.soho-union.com/soho/

「SOHOコンサルタントのツボ」(#001)
咲本@時計台ネット

【○】本日のお題 [はじめに] 会社勤務コンサルとSOHOコンサルとの違い

みなさま、こんにちは!咲本です。
記念すべき創刊第1号を執筆させていただくことになりました。
以後どうぞよろしくお願いいたします。

私のコラムは10回にわたって、SOHOコンサルタントとしてやっていくためのツボをお伝えしてまいります。

以下にまとめましたのは、今後のコラムとして予定しているテーマです。

  1. [はじめに] 会社勤務コンサルとSOHOコンサルとの違い
  2. [基本編] SOHOコンサルタントとなるための境界線
  3. [基本編] キャラクターについて
  4. [実践編] 独立のための準備
  5. [実践編] 地元での活動について
  6. [実践編] 人脈作りについて
  7. [実践編] 講演は正々堂々と営業の行える場
  8. [実践編] Webサイトを武器として活用する
  9. [応用編] 高いスキルがあると見せるコツ
  10. [応用編] 日々の業務以外で差をつける

では早速、第1回目の本論にとりかかります。

会社勤務のコンサルタントは、入社後、先輩コンサルタントの仕事から学びながら、経験を積んでいくことが出来ますので、一定レベルのスキルを身に付けやすい環境にあります。

ところがSOHOコンサルタントの場合、自らコンサルタントと名乗れば、その日からコンサルタントということになります。そういった意味での参入障壁は何もありません。

でも当然のことながら、独立時に一定のスキルがありませんと、仕事にありつくことなど不可能です。

そうしたこともあって、仕事の実態のない自称コンサルタントが世の中にはウヨウヨ存在しています。
一方では、売れに売れているたいへんスキルの高いコンサルタントも多く、そのスキル差はとても大きくなっています。

会社勤務とSOHOとで決定的に違う点は、営業行為についてです。
会社勤務ですと、通常は会社に営業する人材が存在し、その部隊がドンドンと仕事を取ってくることが可能ですが、SOHOでは営業することが、一見非常に難しく見えるからです。

なぜなら、コンサルタント自らが「コンサルティング要りませんか?」と営業することなどあり得ないからです。
そのため、こちらからいわゆる営業行為をしなくても、コンサルティング依頼が入ってくるような仕組みを作るべく、独特の実践を行っていく必要があります。

また、SOHOであるがゆえに、コンサルティング業務だけに専念するわけにはいかず、経理をはじめとした様々な雑務もこなしていかなければなりません。

更には、クライアントに無形のものを提供するわけですので、お金の回収業務にも、自ら細心の注意を払っていく必要があります。

そのような雑務も行いながら、大手コンサルティング会社と比べますと、比較にならない安い額で、コンサル契約することが通常です。

以上の見てきました中で、SOHOコンサルタントとして最も問題となりますのは、通常の営業活動とは違った形を取りながら結果的に仕事が入ってくる仕組みを作れるかどうかという点であると考えます。

その点につきましては後々お話させていただくといたしまして、次回はSOHOとして独立したコンサルタントになれるのかどうかの条件を挙げてみる予定です。

【プロフィール】
咲本 勝巳(さきもと かつみ)
1965年京都生まれ。京都在住。eビジネス、組織論、創業、ベンチャー、経営戦略、現代思想にとても高い関心を持つマーケティングのコンサル屋。

7月25日に何の前触れもなくご連絡いただき、大阪市立大学・大学院創造都市研究科アントレプレナーシップ研究分野「創業アドヴァイザー」に選ばれました。
大学には全く縁のなかった者としては、ちょっとびっくりしました。

コンサルティング会社に勤務したこともなく、会社勤務自体、ほとんど経験のない私が、このようなコラムを書いているということも、冷静に考えますと、おかしなことですよね(笑)

私のことはWebでガラス張り公開中→ http://www.sakimoto.biz/
mailto:sakimoto@tokeidai.net
(ご意見・ご感想・ご提案お待ちいたしております)
(2003/07/28)

2003/7/25 金曜日

起業家精神とは?その新しい定義を求めて」:ミミズの起業家精神(6)大幅改訂版

Filed under: 経営戦略 — 咲本 @ 22:35:46

『ビジネスにマーケティング☆を走らせよう!』に掲載
http://www.mankai.biz/

「起業家精神とは?その新しい定義を求めて」:ミミズの起業家精神(6)大幅改訂版

マーケティング・コンサルタント  咲本 勝巳

みなさん、こんにちは!咲本です。

今回は起業家精神(アントレプレナー・マインド)についてお話させていただきます。

よく使われるコトバの割りには、今ひとつ明確にこういうものだと言えない方が多いかと思われるからです。
この際、このコトバの意味するところを整理しておきましょう。

「そんなん私は会社勤めなので関係ないって」なんて言わないで下さいね(笑)
そういう方ほど、ますます必要なマインドとなってきているように見えます。

なぜなら、様々な研修を受けたり資格を取得したりといった前向きな姿勢を否定はいたしませんが、そのようにして得た知識は、すぐに陳腐化していきます。

これから企業で評価される存在となるには、営業力、説得力、交渉力、企画力等々、個々の持つ高い能力であるわけです。
これらについての高い能力は、知識として学ぶことだけで獲得出来るものではありません。

そのためには、アントレプレナー・マインドを持って仕事に取組む経験の蓄積によって得られるものであると考えるからです。

▼ アントレプレナー・マインドの中味

ではさて、実際にアントレプレナー・マインドとはどういったマインドかを見てまいりましょう。

まずは、ビジネススクールの教科書的な位置付けとなる本から、その内容をご紹介しましょう。
その本を紐解きますと、「アントレプレナー・マインドの6大テーマ」として研究者間で合意に至っている特徴があるとのことです。

  1. 「コミットメントと強固な決意」:全面的献身と強固な決意は他のどの要件よりも重要である。全面的献身と強固な決意により起業家はあらゆる障害を克服し、自身の弱みを補うことができる。
  2. 「リーダーシップ」:起業家には明文化された権力によらず影響力を行使できる能力があり、紛争解決に熟練している。適材適所、筋を通すこと、説得、譲歩、命令を使い分けることができる。つまり、独裁者よりも調停者、交渉者であることが要求される。
  3. 「起業機会への執念」:起業家の執念は、ありふれたアイデア群から起業機会を識別し、業界、顧客、競争の経験、知識を持って起業機会に没頭する。
  4. 「リスク、曖昧性、不確実性に対する許容度」:起業家にとって変化、ハイリスク、曖昧性、不確実性は日常であり、パラドックスや矛盾にも適切に対処することができる。
  5. 「創造性、自己依存、適応力」:事業の存続・成長のために流動的で適応性に富み、迅速かつ効果的に対応できる組織形態を必要とする。自分の成果と挫折は自分の管理と影響力の範囲内であり、結果に影響を及ぼすことができると信じて疑わない。また、細かなことに労苦をいとわず、鋭い洞察力、概念化する能力(ヘリコプター・マインド)もある。彼らは現状に満足せず、常に創始者である。事業の成功または失敗に個人的に責任を取らなければいけないような立場に自ら進んで入り、リーダーシップを発揮して問題解決にあたるとともに、自分の影響力が評価されることを好む。自分の仕事の評価を知ろうとする貪欲な欲求があり、その改善のために積極的にフィードバックを得ようとする。成功する起業家には失敗経験から学ぶ能力がある。失敗に関わった自分の役割だけではな、他の役割もよく理解し、将来起こるかもしれない同様な問題を回避することができる。
  6. 「一流たらんとする欲求」:自らが定めた高い基準を追求し、挑戦的な目標を達成しようとする強い欲求に引っ張られる。地位や権力よりも達成意欲よって行動する。

以上の6点を挙げることが出来ます。

▼ 変化の激しい時代に求められるアントレプレナー・マインド

さて、「6大テーマ」は、どれも重要であるかと思われますが、これだけ変化の激しい時代になればなるほど、
4.「リスク、曖昧性、不確実性に対する許容度」
5.「創造性、自己依存、適応力」
この2つの重要度が急激に増してきています。

そこで、この2つのマインドを高めるための視点を補足させていただきます。

組織行動論・心理学の研究者、カール・E・ワイクは、原子力発電所や航空管制システム、救急医療センター、送電所などの一部に、普通の企業と比べますと、予測出来ない大惨事が起こリかねない過酷な条件下で活動しながら、事故発生件数を標準以下に抑えているのはどういう理由からなのか、との疑問から出発します。(このような組織のことを「高信頼性組織」と名付けられています。)

そして、それらの組織に共通して見られる特徴が高い「マインド」にあることを突き詰めます。

では、そのマインドの特徴5点を次にご紹介いたしましょう。

▼ 高信頼性組織にみられるマインドの特徴

1.「失敗から学ぶ」

  • 完璧な成功以外は全て失敗である。結果オーライではない。成功と考えれば、自己満足や不注意、画一的なルーチンを生み出す危険性が高い。
  • 小さな過失の報告を奨励し、失敗をすべて最大限活用する。
  • 時間の経過と共に失敗の責任が薄れることを認識の上、失敗後の学習を迅速に行う。

2.「単純化を許さない」

  • 状況の意味合いに注意を払うことで、世界観や考え方が多様化される。そして多様化されることで起こり得る結果がさまざまな像として描かれ、予防措置や問題の発生を示すシグナルについても深くさまざまなものが見えてくるようになる。
  • 状況の理解を深めるために、目に映るものを定義づけ(ラベルづけ)し、カテゴリー化する作業を基本的にやり直す。具体的には、捨てた情報の再検討、カテゴリーがどう予想に影響を与えたかの監視、意味がなくなった特徴の削除、という少なくとも3つのことを行う。
  • 計画を立てすぎない。計画とは無関係のように見えることにはまともに注意を払わなくなり、その場の状況に応じた即興的対応が入り込む余地がないからである。また、過去に成功した活動パターンを踏襲すれば一貫して高い成果が得られるということとなり、新しい現象に対応できなくなりからでもある。

3.「オペレーションを重視する」

  • 大惨事に効果的なパフォーマンスを出すカギは、状況、それもオペレーション全体の最新状況をつねに把握することである。全体計画の立案者に権限を集中させるのは良くない。
  • オペレーションを重視する姿勢は、状況の変化をつねに把握するための強力な手段となる。

4.「復旧能力を高める」

  • 不測の事態は起きるものとして、変化に素早く対応できる汎用的能力の育成に力を入れる。つまり、知識、速やかなフィードバック能力、迅速な学習、コミュニケーションのスピードと正確性、多様な経験、既存の対応策を組み換えるスキル、即興的な対応策などについて能力開発をするということだ。
  • 復旧能力の高い人は、予測することよりも緩和することを考える。不測の事態の影響を軽減する知識と能力に注目する。その考え方は予防より治療である。復旧能力は、考えながら行動する、あるいは明確に考えるために行動することを促すのである。

5.「専門知識を尊重する」

  • 重要な意思決定者という肩書きが、問題に適した専門知識をもつ人間あるいはチームによってなされる。
  • 意思決定の構造にヒエラルキー的な色合いと専門性の色合いをブレンドすることにより、基本的に地位よりも専門知識と経験が重要という、重要事項の意思決定の瞬間に忘れられがちな原則を認識し、実行する。

また、以上5点を簡潔に表現しますと次の通りとなります。

マインドの強化を目指すには、成功より失敗体験に関心を持つこと、処方箋や経験則に従うのをやめ、毎回一からはじめるつもりで行動すること、戦略や雄大なビジョンより戦術や基本に注意を払うこと、予防より事後対応に熟達すること、自分以外にもっと知識を持った人間がいるかもしれないという認識を持つことなどが要求される。

▼ まとめ~私の感じる点

以上、長文となってしまいましたが、アントレプレナー・マインドの定説に加えて、高信頼性組織に見られる高いマインドを持った際立った特徴を見てまいりましたが、いかがでしたでしょうか?

私はアントレプレナー・マインドには、「6大テーマ」に、「高信頼性組織に見られるマインド」を加えるべきであると考えます。
そうしませんと、緻密さと柔軟性とを兼ね備えた成功者独特のアントレプレナーマインドが、どうしても説明し切れないのです。

特に、
1.「コミットメントと強固な決意」
は、起業家全員が持っているはずですが、悪い意味で融通のきかない頑固者として機能する場合もあり、高信頼性組織のマインドを踏まえて発揮することが要求されます。

危機を事前に防ぐためのマインドとは、決してネガティブなマインドではなく、「攻める」ためにも必須です。

起業家を目指す方で、起業がうまくいかなかった方に、しばしば見受けることのある点としましては、

2.「単純化を許さない」

という点であることを指摘しておきます。

一方、企業に所属されている方全てが高いマインドを持つように心掛けていきませんと、多発している企業不祥事があなたの企業でも起こるかもしれないという点も指摘しておきたいと思います。

今、まさに企業に求められているのは、前回コラムでご紹介しました「非対称情報」のマネジメントと、今回のアントレプレナー・マインドであることを、しっかりと認識して、即実践に取り掛かりましょう。

【引用文献】
ベンチャー創造の理論と戦略―起業機会探索から資金調達までの実践的方法論ジェフリー・A ティモンズ『ベンチャー創造の理論と戦略―起業機会探索から資金調達までの実践的方法論』


不確実性のマネジメント―危機を事前に防ぐマインドとシステムを構築するカール・E. ワイク , キャスリーン・M. サトクリフ『不確実性のマネジメント―危機を事前に防ぐマインドとシステムを構築する』

■プロフィール
咲本 勝巳(さきもと かつみ)

eビジネス、組織論、経営戦略、現代思想にとても高い関心を持つマーケティングのコンサル屋。
関西SOHOデジタルコンテンツ事業協同組合 理事
関西ベンチャー学会 理事

7月28日(月)に京都全日空ホテルでパネルディスカッション「踊る京都の中小企業!その元気の源泉は?」と題してコーディネータをいたします(参加無料)
パネリスト
(株)小掘 専務取締役 小掘進 http://www.kobori.co.jp/
(株)鈴木水引店 代表取締役 鈴木久子 http://www.mizuhikiya.com/
(株)データ変換研究所 代表取締役 畑中豊司 http://www.dehenken.co.jp/
詳細・参加申込は↓
http://www.joho-kyoto.or.jp/~suisin/plaza/h15_1_annai.html

私の所属する事業協同組合で日刊「SOHOのツボ!」なるメルマガを7月28日(月)に創刊します。
私もこのメルマガで「SOHOコンサルタントのツボ」なるお題で執筆してまいります。
10名の執筆者で100号発行した時点で、書籍化する予定でもあります。
某出版社とのヒソヒソ話も既にスタートしています(笑)
是非みなさん、こちらもご購読下さいませ!!
ご購読は→ http://www.soho-union.com/soho/

私についてご興味のある方は硝子張り公開→ http://www.sakimoto.biz/
(2003/07/25)

2003/7/4 金曜日

「非対称情報」のマネジメント

Filed under: 経営戦略 — 咲本 @ 23:56:55

『ビジネスにマーケティング☆を走らせよう!』に掲載
http://www.mankai.biz/

「「非対称情報」のマネジメント」

マーケティング・コンサルタント  咲本 勝巳

みなさん、こんにちは!咲本です。

さて今回のお話は、2001年にノーベル経済学賞に輝いた非対称情報の経済学をベースにしつつ、実践を標榜するこのメルマガらしく、「非対称情報」のマネジメントについてお話していきたいと思います。

この「非対称情報」の経済学、経済学部の学生さんなら、最早常識かと思いますが、私のような専門外の人間も多数いらっしゃるのではないかと思い、まずはこの経済学の考え方について手短にお話させていただきますね。

▼ 「非対称情報」の経済学とは?

この経済学では、市場の情報は不完全・非対称であると考えます。
伝統的な経済学では、市場の情報は完全で同質、対称的であると考えられてきました。

情報が非対称である例を挙げてみましょう。
例えば、中古車市場において、車の売り手とディーラーは、その車が欠陥車なのか、状態は悪くはないが買い換えるために売ろうとするものなのか、車の状態がほぼ正確にわかります。

その反面、車の買い手は、修理・整備が行われ、ピカピカになった中古車を見ましても、その車が事故車のような欠陥車であるのかどうかといった情報が十分にはわかりません。

このように情報が一方には十分あり、もう一方には不十分であることを、情報が非対称であるといいます。

欠陥車のことをこの経済学では「レモン」(トランプのババ抜きのババみたいなもの)と呼び、レモンを選んでしまうことを「逆選択」と呼びます。

▼ 情報化社会なのに増加するレモン

詳しいことはさておきまして、私達にとって重要なことは、情報化社会になればなるほど非対称情報は増加すると結論付けられているということです。

みんながインターネットで情報発信する社会になれば、非対称情報がなくなってくるのではないの?とお感じになった方も多いかと思われます。

確かに情報発信することは大変重要です。
しかし、情報化社会になればなるほど、個々の情報が専門特化されていき、そこに非対称情報が多くなってくる余地がたぶんにあります。

この非対称情報を逆利用して、お客さまに「レモン」をつかませようとする悪徳業者も発生しやすくなります(=モラルハザード)

こういう時代であるからこそ、「うちの会社のここをみて欲しい」という「シグナル」を示し続けることによって、レモンではないことを明らかにしていく「非対称情報」のマネジメントとでも名付ける活動が、企業に求められます。

「シグナル」を発し続けていかないと、レモンではないのにかかわらず、レモンかもしれないと疑われることにもなりかねません。

▼ レモンかもしれない某清掃用品レンタル大手企業

某清掃用品レンタル大手に、レモンである可能性が見受けられるニュースが流れました。

一度そのようなシグナルを出してしまうと、なかなかレモンであるというところから脱却出来ません。

では、この企業はレモンだとのレッテルを貼られないための、「非対称情報」のマネジメントが行われたのでしょうか?

その企業のトップページを見てみますと、Topics欄下部に「お詫び」ボタンが小さく付いています。
お詫び文の日付を見ますと6月4日となっていますが、実際にニュースで騒がれ始め出したのは、6月3日の朝です。
24時間以上経過しないと何もアップ出来ないというのは、「非対称情報」マネジメントがなされていない証拠です。

また、当初ボタンの色は、背景色と同じのものでして、非常にわかりにくくしてありました。
(その後、新聞の謝罪広告も掲載する時、つまり6月10日にボタンの色は現在のものに変わりました。)

Topics欄に更新情報が掲載されるわけなのですが、こちらには書かれていないということは、いずれこの情報はサイトから削除しようと思っているのではと勘ぐりたくもなります。(くさいものに早くフタをしたい!?)

ミスタードーナツの事件後、臨時株主総会で役員を刷新、情報の透明化を目指した組織改革を昨年秋から開始しているはずであり、3~4年後に東証に上場したいというこの時期に起こった今回の事件を、おそらく企業にとってのピンチあるいは脅威と受け止めてしまったのに違いありません。

▼ 弱みと脅威からの発想?

ここで有名なSWOTから今回の事件を考えた場合を想定してみましょう。
SとWつまり企業内部の強みと弱み、OとTつまり企業外部の機会と脅威の4つの側面から、どのように行動すべきかを考えた場合のことです。

特別背任罪で元役員が逮捕という事実からは、やはり弱みと脅威に該当させてしまうことでしょう。

となれば、ついつい「くさいものにフタ」をしたくなったり、あまりそのことには触れないようにしたくなるものです。

Webサイトから状況を汲み取るだけでも、この企業が弱みと脅威志向であることが伺い知れます。

でも果たして、このようなことで良いのでしょうか?

▼ 参天製薬の場合

ここで2000年に薬局の目薬に毒物を混入したと脅迫状の送られてきた参天製薬の対応を想い出していただきたく思います。

この企業は郵便物が届いた翌朝には、Webと記者会見で全国の薬局の目薬全品の回収を発表しました。

売上の損害という弱みや脅威にばかりこだわっていれば、このような大胆かつ迅速な対応をすることは出来なかったことでしょう。

では、なぜそのような決断が出来たのでしょうか?

いくつもの理由があったでしょうが、そのひとつには、弱みや脅威を考えるよりも、強みと機会(チャンス)をいかにモノにするのかと立場からの発想があったのではないかと私は考えます。

こういった事件は、強みと機会重視志向から考えれば、脅威どころか大きなチャンスをつかむ絶好の機会となるのです。

結果的には、いたずら防止の特殊フィルムに入った目薬で販売を再開後は、安全を第一に考えた大赤字覚悟の全品回収、迅速な決断と公表が、大きなイメージアップとなり、その年の決算は増収増益となりました。

▼ では、どのようにすればよかったのか?

某清掃用品レンタル大手も強みと機会重視志向であれば、今回の事件を大きなチャンスとする可能性はあったはずだと考えます。

情報の透明化に本当に取組んでいる最中であるのなら、私だったら事件直後に、すぐさま謝罪文を掲載します。
そして、最低でも1日1回以上、情報の透明化についての取組みについての進捗状況を公開し続けるようにいたします。

情報の透明化をすすめると言葉で発言しても、「どのように」透明化をすすめているのかとか、本当に透明化が進んでいるのかという点について、外部の人間は何もわかりません。

だったら、この企業はレモンだと言われないようにするためには、具体的な進捗状況を思い切って情報公開していくしか、それを払拭する方法がないかと思うのです。

で、そういった思い切ったことを始めるのには、今回の事件は絶好の機会だったはずなんです。

あ~あ、勿体ない(笑)

▼ 「非対称情報」マネジメント

さて、今まで事例を見てきましたことから、「非対称情報」マネジメントをすすめるにあたってのポイントを挙げておきましょう。

  1. 積極的な情報公開・情報発信が、ますます重要となってきている。
  2. 「当社はレモンではない」という発言には何の説得力もなく、そのように認識出来るに値する行動を見せなければならない。
  3. 強みと弱み、機会と脅威とは、物事を捉える際にあたっての裏腹な関係であり、強みと機会から発想することにしか、真の打開策はない。
  4. 以上の点について、日頃から全社的に徹底化した行動が出来ていなければ、突然起こる大きな事件ひとつで、雪印のように崩壊する可能性がある。

このコラムを書いている最中に、F1のエンジンを作っている(株)無限が、法人税法違反容疑で本田宗一郎の長男である経営者、本田博俊が逮捕されました。

この企業が、今回の事件をどのように対応するのか、「非対称情報」マネジメントの視点から見守っていきたいと思います。

■プロフィール
咲本 勝巳(さきもと かつみ)

eビジネス、組織論、経営戦略、現代思想にとても高い関心を持つマーケティングのコンサル屋。
関西SOHOデジタルコンテンツ事業協同組合 理事
関西ベンチャー学会 理事

今回のコラムは、先日の講演でお話させていただいたことを機会に、日刊「WEBのツボ!」というメルマガコラムで書きましたものを、大幅改訂したものです。
このメルマガは、実は私が編集担当しているものです。
ご興味がある方は、是非ご登録してみて下さいね。
http://www.soho-union.com/

7月12日に京都EGG例会で「インターネットでの商売で儲けるには?」と題して講演します。(参加無料)
この件につきましては、ご担当畑中氏: mailto:hatanaka@dehenken.co.jp

7月28日は京都全日空ホテルでパネルディスカッション「踊る京都の中小企業!その元気の源泉は?」と題してコーディネータをいたします(参加無料)
パネリスト
(株)小掘 専務取締役 小掘進 http://www.kobori.co.jp/
(株)鈴木水引店 代表取締役 鈴木久子 http://www.mizuhikiya.com/
(株)データ変換研究所 代表取締役 畑中豊司 http://www.dehenken.co.jp/
この件につきましては、ご担当井上氏: mailto:inoue@ki21.jp

私についてご興味のある方は硝子張り公開→ http://www.sakimoto.biz/
(2003/07/04)

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