2004/3/29 月曜日

ブレイクスルー思考

Filed under: 読書 — 咲本 @ 6:17:54

『日刊SOHOのツボ!』に掲載
http://www.soho-union.com/soho/

「SOHOによく効く書籍」(#006)
咲本@時計台ネット

【○】本日のお題「ブレイクスルー思考」━━━

みなさん、こんにちは!咲本です。

SOHO事業者として活動されている方の多くは、新しい企画を考えたりするような創造性の要求されるお仕事をされているのかと思います。

今回はビジネスにおいて創造性やイノベーションを生む思考法によく効く書籍をご紹介させていただきます。

仕事の壁を破る! ブレイクスルー思考術

アネット・モーサー・ウェルマン『仕事の壁を破る! ブレイクスルー思考術』


本書は古今東西の天才と呼ばれる人達から5つのスキルを見出しています。

それらは「先見者」「観察者」「錬金術師」「愚者」「賢者」と名付けられています。

そしてこれらは世の天才と呼ばれる人物だけが持っているものではなく、誰でも多かれ少なかれ持っているものだとされています。

それら5つのスキルのうち、自分自身がより強く持つ側面2つを高め、最も弱い側面を次の成長の機会にするべく、それぞれの側面についてのスキルアップ法や注意点が具体的に記述されています。

以前ご紹介しましたピーター・ドラッカー『マネジメント』などを読みますと、イノベーションの重要性が非常によくわかりますが、ではそれを生み出すことのできるアイデアを続々と発生させる具体的なスキルについては何もわかりません。

著者は言います。

ほとんどの企業は「戦略」という言葉を使いすぎなのだ。あまりにも使いすぎるので、ほとんど意味がなくなっている。実際ビジネス・アーティストは「戦略」という言葉を使うのを止めており、ただ「アイデア」と言うようになっている。
ビジネス・ルネサンスの時代、偉業は一見意味のないことから成し遂げられることが多く、賢明な「戦略」に基づいているとは思えない。それらはただ素晴らしいアイデアである。(中略)戦略の展開に焦点を当てる代わりに、アイデアの展開に焦点を当ててほしい。

つまりは、これからはマネジメント・スキルを高めていくのには、従来言われている方向性よりも、ブレイクスルー思考術をベースにしたスキルを高めていく方が、より重要性を帯び始めているのではないかと思うのです。

会議が変わる6つの帽子

エドワード・デ・ボーノ『会議が変わる6つの帽子』


本書は創造的思考を組織として発揮するための有名な手法が明かされたものです。

著者はこれを「6つの帽子思考法」(Six Thinking Hats)と名付けられ、今や米IBM、マイクロソフト、NTT、デュポンなど多くの企業で採用されています。

この手法をごくごく簡単に説明いたしますと、6つの帽子とは、6つの視点を意味することで、

  • 白い帽子:客観的な事実と数値(データ)からの視点
  • 赤い帽子:感情的な視点
  • 黒い帽子:警戒と注意を促し、考え方の弱点を指摘する視点
  • 黄色い帽子:希望と肯定的な視点
  • 緑の帽子:創造性と新しい考えからの視点
  • 青い帽子:各視点を調整し、考え方のプロセスを構成したり、他の帽子の使い方を統制する視点

ということになります。

会議の中で「黒の帽子は脱ぎましょうよ」とか「黄色い帽子ではこのようにも思いますよ。」などの発言が飛び交うことになります。

この手法の良い点は、何日もの時間を要していた会議がスムーズな進行に変わっていくことと、建設的な考えや創造的な考えがたいへん多く出るようになることです。

クライアント先の会議で揉めに揉めて、なかなか話が前に進まないような場合には、この手法を導入することで、大きな改善がなされる可能性が高いです。

知的複眼思考法―誰でも持っている創造力のスイッチ

苅谷 剛彦『知的複眼思考法―誰でも持っている創造力のスイッチ』


暗記物ばかりで正解がひとつしかない受験戦争を経て、大学に入学後もその陥穽を補うような経験をしてこなかった方の中には、ブレイクスルー思考が苦手な方が多いのだろうと予想します。

本書は、世の中では正解がひとつであるとは限らない現実に対峙する大学生が、いかなる思考法を鍛えていけば創造的な思考ができるのかという視点から書かれたものです。

著者は全国3万人の大学生からベストティーチャーとして選ばれた東京大学教授。

さすがに説得力があります。

創造的思考スキルが一朝一夕に得られるようなものではなく、あくまでも日々の積み重ねによって得るものだとすれば、特段、ビジネスに特化して書かれた書物ではない本書が、大いに役立つものであることもおわかりいただけるかと思います。

15年ほど前に、私は近代心理小説で有名なフロベールが作成した『紋切り型辞典』という本を読んだことがあります。

要は、物事を当時の常識・先入観に染まりきった一般人の立場で定義されているという皮肉と風刺を狙った辞書です。

例えば、今風に言いますと、「CRM実現のためのベストプラクティス」とかの表現を発見して、文豪フロベールが辞書でいち早く採用して皮肉ろうという感じのものです(笑)

今や、「CRM」とか「ベストプラクティス」とか言われましても、それは過激に言えば、正解が一つだと決まっている受験の世界で、重要な言葉だと暗記したことを「一つの正解」に向けて回答する思考回路しかもっていないのではないかと疑ってしまいます。

そのような受験時の癖から抜けられない人には、是非読んでもらいたい書です。

ちなみにではありますが、ビジネス書として創造力開発の書籍を儲けだけのために書こうとする著者の大元のネタとして使われている可能性が高いのが本書です。

どれとは書きませんが、そのようなビジネス書に騙されないようにしましょう(笑)

【プロフィール】
咲本 勝巳(さきもと かつみ)
1965年京都生まれ。京都在住。eビジネス、組織論、創業、ベンチャー、経営戦略、現代思想にとても高い関心を持つマーケティングのコンサル屋。

関西ベンチャー学会 理事 http://www.kansai-venture.org/

大阪市立大学・大学院創造都市研究科アントレプレナーシップ研究分野「創業アドバイザー」 http://www.gscc.osaka-cu.ac.jp/

起業・マーケティング・eビジネスによく効くメルマガ「週刊☆ビジマ」発行人
http://www.mankai.biz/

今回、オススメ書として取り上げなかったものとして下記のものがあります。

ネッド・ハーマン『ハーマンモデル 個人と組織の価値創造力開発』
ハーマンモデル―個人と組織の価値創造力開発

理由→まだ、一部しか読めていないことと、ノーベル賞に輝いた大脳生理学の最前線から、個人、組織、ユーザーなどにおけるビジネスに必要なあらゆることを、全てにわたって、ここまで解明できるものなのか、すごい可能性を秘めつつ、全面的に有効なのか、まだ日和見状態。
ハーマン氏は、右脳・左脳二元論のような単純な理論展開をしているわけではなく、少なくとも四元における関係性を問題にしているわけで、とても複雑な議論となるのです。
尊敬する知り合いの某M氏に教えてもらいました。
ちなみに、今売れっ子となっている脳の解剖学者である養老孟司氏の発言も、15年以上前に出された『唯脳論』以降、個別の話は別として全体としては、脳一元論で突破しようとする割には、認識論での視覚問題や身体論における幻肢問題など、重要問題の数々には一切答えないままであり、私は不信感を持ったままでいます。

私のことはWebでガラス張り公開中→ http://www.sakimoto.biz/
mailto:sakimoto@tokeidai.net
(ご意見・ご感想・ご提案お待ちいたしております)
(2004/03/29)

2004/3/20 土曜日

Web活用のコンサルタントに求められるスキルとは?

Filed under: eビジネス — 咲本 @ 22:03:54

『ビジネスにマーケティング☆を走らせよう!』に掲載
http://www.mankai.biz/

「Web活用のコンサルタントに求められるスキルとは?」

マーケティング・コンサルタント  咲本 勝巳

みなさん、こんにちは!咲本です。

今回は私の仕事についての立場についてお話させていただきます。

▼ ITコンサルタントのスキルとは?

経済産業省発表の「ITスキル標準」なる、IT系の仕事に従事する人に対するレベル別スキル基準が、下記ページに明示されています。
http://www.meti.go.jp/policy/it_policy/jinzai/g030701aj.html

これに従いましたら、私はあらゆるIT系分野にとって、不適格な人物となってしまいます(笑)

やはり私にはIT系に強いコンサルタントとしてやっていくスキルがないということなのでしょうか(笑)

何せ、論文執筆についてもスキル項目に入っているくらいですから(笑)

これは前回のコラム「戦略クラフティング」を初めとして、折に触れて語ってきた、サイエンス的な路線ばかりを大いに評価するという、学があろうとなかろうと、結果的に商売人として力量を発揮している人達には、全くそぐわない基準となっています。

また、大手コンサルティング会社に所属している方を、より高く評価する指標ともなっているようです。

「スキルアップ」するために国が用意した「中小企業診断士」や「ITコーディネータ」なる資格を、私が受験することを無視し続けているのも、そんな国が定めた基準に納得できないからです。

受験すれば、私が明らかに間違っていると思っていることにも、○印を付けないと点数が獲得できないというジレンマに陥ってしまいます(笑)

いい年をしたオッサンが、今からそんな受験用の暗記物世界で合格して、喜ぶようなことをしたくないわけです。

(現在、資格を取得されている方々には、異論はありません。経験した試験内容に全て従うことでは「あかん」との認識をお持ちである以上は。資格を取得することは、ひとつの戦略としては、逆に評価いたします)

結論的には、私は経済産業省にとっては、スキルの高いITコンサルタントでは決してありません!

▼ Web活用のコンサルタントに必要なスキルとは?

私のまわりには、Web関連の仕事をしている人達がたくさんいます。

私自身、インターネットをうまく活用して、売上を上げようとする方向性には、大いに賛同するだけにとどまらず、そんな企業が増えたらいいなあと思っています。

そう。インターネットには無限の可能性が広がっています。

それはその通りなのではありますが、Webにまつわるコンサル的な立場の人達には、Webに対する過剰な期待がありすぎることが、私にとっては、それはインターネット万能論の立場のように見えてしまいます。

確かに、ユーザビリティ、アクセシビリティ、Webマーケティングなどのカタカナ用語についてのスキルとかが必須であることは間違いありません。

でも本当にインターネット「だけ」で道が開けるのでしょうか?

実は、ネットショップの繁盛店がたくさん登場していることから、ある一定レベルでのノウハウというものは、既に存在しています。

ただし、後追い的にそれらノウハウを実践するだけでは、先発企業と同等の成果を上げることはできません。

ということは、成功したネットショップの実践ノウハウだけでは知りえないプラスアルファを提供することのできるスキルが必要となってきます。

では一体それはどのようなものなのでしょうか?

▼ プラスアルファのスキルとは?

一番大事なのは、経営戦略を大局的に観た見地から、ネット・非ネットを問わずに、タイミングよく必要な手を打っていけるようにご提案できるスキルなのです。

Webのことでかかわっているからといって、Webの事柄だけで提案が完結しているようでは、成果が出たとしても、かなり制約されるというのが、私の経験上得た結論です。

例えば、このメルマガでカスタネットの植木さんが積極的に行われているメディア戦略など、必要不可欠なのです。

私は、ネットの活用のコンサルタントいうことが仕事の中心となりながらも、マーケティングのコンサルタントと名乗っていますのも、そのような理由からなのです。

Webのコンサルティング的な人達の中で、ネットを活用して大きな成果を出そうと発言されること自体は間違いではありません。

でも、それ「だけ」をご提案するというのは、ビジネス上の視野としては、狭いと言わざるを得ません。

一方で経営コンサルタントとして活動されている方々は、Webの設計とかがわかるだけのスキルを持ち合わせられていない方もいらっしゃり、これまた片手落ちとなるわけです。

もし、このメルマガ読者の中で、ビジネスにおけるネット活用のコンサルティングを仕事にしてみたいとお考えの方がいらっしゃいましたら、このあたりのバランスをしっかりとお持ちいただきたいと思います。

■プロフィール
咲本 勝巳(さきもと かつみ)
eビジネス、組織論、経営戦略、創業、ベンチャー、現代思想にとても高い関心を持つマーケティングのコンサル屋。

大阪市立大学・大学院創造都市研究科アントレプレナーシップ研究分野「創業ア
ドバイザー」 http://www.gscc.osaka-cu.ac.jp/

関西ベンチャー学会 理事 http://www.kansai-venture.org/

関西SOHOデジタルコンテンツ事業協同組合 理事
http://www.kansai-soho.or.jp/

「およそ語られうることは明晰に語られうる。そして、論じえないことについては、ひとは沈黙せねばならない。」ヴィトゲンシュタイン『論理哲学論考』

本当にそうなのだろうか?
メタファーを駆使したり、身振り手振りを使ったり、限界まで語り切った先に、ほのかに見えてくるものとかないのだろうか?

私は上述のヴィトゲンシュタインの説に異を唱えたい。

ビジネスのことばかり考える頭を、時にはこんなことを考える頭にしてリフレッシュしてみたい気になります。

私についてご興味のある方は硝子張り公開→ http://www.sakimoto.biz/

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(2004/03/20)

2004/3/15 月曜日

広報関連書籍

Filed under: 読書 — 咲本 @ 6:59:26

『日刊SOHOのツボ!』に掲載
http://www.soho-union.com/soho/

「SOHOによく効く書籍」(#005)
咲本@時計台ネット

【○】本日のお題「広報関連書籍」━━━

みなさん、こんにちは!咲本です。

今やマスコミも、組織規模の大小に関係なく、新規性や独自性のあるネタを積極的に取り上げてくれるようになってきています。

でもそれは、ただ単に事業を真面目に取組んでいれば、いつかマスコミが気付いてくれるというものではなく、意識的な広報活動を行っていくことが必須条件となります。

おそらくはSOHO事業者にとって、広報活動が今後の事業の行方を左右する重要な活動となることは間違いのないところだと思います。

そうです。マスコミは新規性・独自性のあるネタを常に探されており、そのようなネタを持ったオンリーワンのSOHOであれば、あっという間に有名になれるチャンスがあるのです。

ということで、今回はそんな広報活動について、たいへん参考となる書籍をご紹介させていただきます。
会社をマスコミに売り込む法―中小・ベンチャー企業のための広報実践指南山見博康『会社をマスコミに売り込む法―中小・ベンチャー企業のための広報実践指南』

著者は、神戸製鋼で広報部長を経験後、独立され、企業における広報のコンサルティングを行っている方です。

その著者が広報というものがどんなものなのか、全く知識のない初心者にもわかるように、基礎から裏技に至るまで語った実践マニュアルとなっています。

またSOHO事業経営者として自社のブランド化を、広報という切り口から練り直し構築していこうとするきっかけにもなるかと思います。

全部無料(タダ)で宣伝してもらう、対マスコミPR術玉木 剛『全部無料(タダ)で宣伝してもらう、対マスコミPR術』


本書の著者がまだ学生だった頃から、私はなぜだか知っているのですが、彼が関わっていたベンチャーが倒産し、その後どうしているのだろうかと思っていたところ、広報戦略により見事ライターとして復活したことを、本書の存在そのものにより納得させてくれます。

本書の特徴は、プレスリリースのウケる書き方やネタの発想法といった点にこだわったところにあります。

活字の大きさや太さを変える書き方で表現されており、要点が眼に飛び込んできます。

なんだか、読んだだけで明るい未来が見えてくる気にさせてくれます。

なぜ、あの商品だけ大ヒットしたのか!玉木 剛『なぜ、あの商品だけ大ヒットしたのか!』


こちらは、前者の続編的なものになります。
大ヒットした商品の裏側では、実は緻密な広報戦略が施されており、全く広告予算をかけずになぜ大ヒットしたのかという理由がよくわかります。
こちらもおすすめです。

テレビに自分の会社が出る!―宣伝費ナシで商品がブレイクする方法教えます広瀬 満雄『テレビに自分の会社が出る!―宣伝費ナシで商品がブレイクする方法教えます』


パン屋さんのコンサルティング業を行っている著者が、10年間に100回以上のテレビ出演を経験した裏話が語られています。

やはり彼のテレビ出演回数も偶然ではなく、緻密な広報戦略を実践してきたということがわかります。

経験者でしか分かり得ないコツが随所に散りばめてあり、たいへん説得力があります。

また、新聞記事掲載よりもテレビ局の狙い撃ちを実現させる方が敷居が高いかと思われますが、そのテレビ出演依頼独特のノウハウがよくわかってきます。

もっとも頭に残ったのは「一回、二回、三回で諦めるな!」と、同じマスコミに手を変え品を変え、チャレンジすることをすすめている点です。

以上、3人の著者が書かれた本をご紹介させていただきました。

今、私のまわりにの方々で、広報に力を入れている経営者が随分と増えてきました。

とある中小企業では、力を入れだしてから一年間のマスコミ掲載をむりやり金額換算しますと、3千数百万円ほどの広告効果となるだけの露出を行ってこられています。

お金を使わなくても、知恵を使うことでこれだけの効果が出ることを、みなさんも是非実践していただきたいと願っています。

【プロフィール】
咲本 勝巳(さきもと かつみ)
1965年京都生まれ。京都在住。eビジネス、組織論、創業、ベンチャー、経営戦略、現代思想にとても高い関心を持つマーケティングのコンサル屋。

関西ベンチャー学会 理事 http://www.kansai-venture.org/

大阪市立大学・大学院創造都市研究科アントレプレナーシップ研究分野「創業アドバイザー」 http://www.gscc.osaka-cu.ac.jp/

起業・マーケティングによく効くメルマガ「週刊☆ビジマ」発行人
http://www.mankai.biz/

先日、平成15年度「創業・ベンチャー国民フォーラム」の起業支援家部門で見事経済産業大臣表彰に輝かれました、大阪のソフト産業プラザiMedioの富永所長をお祝いするパーティが心斎橋のとあるお店を貸し切って行われ、参加してきました。
http://www.imedio.or.jp/

久しぶりに参加した大阪でのパーティで、たくさんの「久しぶり!」という方に再会することができて、たいへん嬉しかったです。

あまりにも楽しく、二次会からお店を出たのが午前2時。
仕方なく、タクシーで京都まで高速を飛ばしてもらい、帰りました(笑)

昨年はこの経済産業大臣表彰に、我がカンデジの吉田理事長が輝かれ、なんと、2年連続で大阪市の支援関連の人の受賞となりました。

それにしましても、関西は支援系の人達がとても充実しているにもかかわらず、プレイヤーの数がいまいちのまま。。。

と思いきや、関西の企業も起業家部門で受賞しているではないか!

少しずつではありますが、関西もプレイヤーが育ってきているということなのでしょうか?

そのように体感できるのは、もう少し先のような気がしているところです。

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mailto:sakimoto@tokeidai.net
(ご意見・ご感想・ご提案お待ちいたしております)
(2004/03/15)

2004/3/5 金曜日

高台寺庭師の戦略クラフティング

Filed under: 経営戦略 — 咲本 @ 22:14:28

『ビジネスにマーケティング☆を走らせよう!』に掲載
http://www.mankai.biz/

「高台寺庭師の戦略クラフティング」

マーケティング・コンサルタント  咲本 勝巳

みなさん、こんにちは!咲本です。

今回はこのコラムで三度目のご紹介となる、高台寺公認庭師北山さんを事例に、ミンツバーグが提唱する「戦略クラフティング」の考え方をご紹介させていただこうと思います。

この「クラフト」という視点は、以前、「リーダーシップのトライアングル」として、リーダーシップには、アート、サイエンス、クラフト(工芸)の三要素があり、成功しているリーダーに共通しているのは、このうちの2つに秀でているという説をご紹介しました。

まあ、そのようなイロイロな意味を兼ねた続編です(笑)

▼ アートとサイエンスの中間がクラフト

まずは、復習を兼ねて始めましょう。

戦略におけるアートの側面とは、知らず知らずのうちに生まれてくる、あるいは偶然生まれてくるひらめきのようなものを指します。
これは純粋な「創発戦略」と言い換えることができます。

一方で、純粋に思考・分析からプランニングされた戦略を策定するという側面がサイエンスです。

クラフト的側面とは、ちょうどその中間に当たります。

単なるひらめきだけではなく、経験に裏打ちされた暗黙知が働きます。
思考することだけに没頭するのではなく、思考と同時に作品に手も動いているというものです。

では、もう少し具体的に戦略クラフティングがどんなものなのか、庭師北山さんを事例にご説明させていただきましょう。

▼ 庭師北山氏の戦略クラフティング

彼は春と秋に行われる高台寺夜の特別拝観に伴い、ライトアップのプロデュースを行われています。
http://www.crafting.jp/blog/project_management/

北山氏は、庭師として植木と石について精通されているだけでなく、灯りについても、過去のライトアップの経験で深い知識を持たれています。

毎回お寺としては異例のアバンギャルドなライトアップでは、アクリル板、着色されたガラス棒、素焼きの器など、様々なものを利用されるのですが、それの制作を職人さんに依頼された段階では、ライトアップのプランニングができていません。

つまり、ごく大きなコンセプト(哲学に近いかもしれません)を職人さんに伝えるだけで、あとは職人さんの創意工夫にお任せされています。

普通、大企業によく見受けられるサイエンス的側面を重視している場合では、事前にプランニングし、戦略策定してから行動に出るはずなのでしょうが、彼の場合、それが当てはまりません。

この姿勢を、ミンツバーグは「アンブレラ戦略」と呼んでいます。

ミンツバーグの発言を引用しますと、
まずシニア・マネジャーたちが大まかなガイドラインを設定する。たとえば、最新技術を用いて高マージンの商品だけを製造する、あるいは既存技術を用いて製造できる商品を優先するといった類のものだ。そして、その細目については部下たちに任せる。
このアンブレラ戦略は、プランニング(上層部からのガイドライン)だけでなく、創発のプロセス(具体的なプランの作成)も含んでいる。加えて、戦略が途中で発展するように意図的に管理していくという点で、計画的に創発を促すアプローチと呼べる。

つまり、ガイドラインを設定しつつ、未確定な余地を残し、その点に依頼された側の創意工夫をさせるように促していくことで、当初依頼した時点では予想だにしなかったような、開いたカサのように大きな拡がりを見せ、発展をしていく戦略です。

依頼したものが出来上がった段階、例えば、色のついたガラス棒が納品された段階でも、まだどんなライトアップ作品となるのかが決まっていません。

そこから、実際にライトを当ててみて、どのような光り方をするのか確かめてみながら、ガラス棒の配置の仕方や、色の違ったガラス棒の組合わせ方、光の当てる角度、光の色、などなど、様々な事柄について、試してみながらの試行錯誤が始まります。

この試行錯誤は通常、記者発表直前の段階まで、念入りに行われます。

光の当て方をRGB3色の発光ダイオードを数箇所配置し、その発光具合を数十パターン、パソコンで制御して変化させていくわけですので、たいへんな手間です。

この姿こそ、戦略クラフティングの世界です。

ミンツバーグの説明を拝借しますと、
ある日は考え、別の日は仕事に専念するという工芸家はいない。工芸家の頭は
その指とつながっている。にもかかわらず、大企業では頭脳と指の動きを分離しようとする。その結果、頭脳と指の間に不可欠なフィードバック・ループを断ち切ってしまう。

これは、悪い意味でサイエンスの側面だけが突出する場合のことを指摘しているのでしょう。

ついでに脱線しておきますと、マネジメントを語る古典的な経営学の大家も、マネジャーの仕事に無知または大きな誤解をしたまま、マネジメントを語っている場合が彼の指摘でたいへん多いことがわかります。

例えば、経営者の仕事について説明される際によく使われる「POSDCORB」。
P:Planning(計画化)、O:Organizing(組織化)、S:Staffing(人員配置)、D:Directing(指揮)、C:Coordinating(調整)、R:Reporting(報告)、B:Budgeting(予算化)

これらの事柄についていくら説明されたとしても、マネジャーにとって何も役に立たず、せいぜいのところ、「われわれが無知である領域に名称をつけるのに役立」つ程度のものだったことがわかります。

役に立たないことの事例として、次のような引用がなされています。

本社販売担当重役の何人かは、計画作成を各営業所の管理活動の一つとみなしている。しかし、計画作成という活動は、分析、技術、および人間関係スキル以上のものなのだろうか。また、マネジャーは、本当に腰を落ち着けて、セールスマンの育成・監督、製品の需要予測、営業所の運営などの個別問題を関知せずに「さて、これから計画づくりをしなければならない」などと定期的に公表するものであろうか。

「山のような仕事を間断のないペース」で行っているマネジャーに、POSDCORBに
分割してひとつひとつのフレームワークについて説明されても、使えるレベルとしてのことを考えますと、あまり説得力のない場合が多いのです。

そんな知識吸収のためのセミナーが世の中に蔓延しているのも嘆かわしいです。

以上、余談です(笑)

▼ 変化の激しい時代には戦略クラフティングの視点を

過半数の大企業は、戦略策定なしのまま行動に出ることに、大きな不安感がある
のかもしれません。

しかし、これだけ世の中全体は変化の激しい時代となってくれば、プランニング
「だけ」では、難しいのではないかと思います。

つまり、それ「だけ」であれば、「これは戦略を創造する行為ではなく、既存の戦略をプログラム化し、実施させる手段なのだ。本質的にそれは、要素還元的な分析作業である」のです。

かといって、創業予定者の一部に見受けられるような、ひらめき一発で勝負というのも、特に既存企業ではどの企業でも必要な機会ごとにひらめきが出るのかという点で不安定さを感じます。

では、その「中間」に位置する「クラフティング」的な視点を得るには、何が必要となってくるのでしょうか?

実は、私個人として、ネットバブルの頃に、アイデア一発勝負のビジネスモデルが多数存在し(今でも見受けられますが)、そのようなビジネスモデルのほとんどに、クラフト的視点が見受けられなかったことに愕然とした記憶があります。

クラフト(工芸)の世界とは、
「長年来の伝統技能、わが身の献身、ディテールへの精通によって、初めて完璧さが得られる。クラフティングについて我々の心に浮かんでくるイメージは、思考や理性ではなく、むしろ長い経験や没頭、手持ちの素材への愛着、バランス感覚といったものである。形成していくプロセスと実行するプロセスとが学習を通じて融合し、その結果、独創的な戦略へとだんだんと発展していく。」

結局何が必要かと言いますと、私流にアントレプレナー・マインドについてお話した、そのマインドと、その事業における深い経験と愛着です。
http://www.crafting.jp/blog/entrepreneurship/

戦略クラフティングとは、このようなマインドを持ち、深い経験により細部にも眼の行き届く人の「プロセス」を重視した戦略なのです。

私のようなコンサルティングを行う身としては、まるで未来予測ができる超人であるかのような戦略策定を行うことには全く興味がなく、私よりもはるかに商品・サービスの知識に精通されたクライアントさんが、戦略クラフティングされる土壌が醸成され、その結果、独創的な戦略が発生していくきっかけを与えるようなことが出来た方が、はるかにコンサルティングを行った気分となるのです(笑)

なぜなら、「戦略をクラフティングする際、将来組織に甚大な影響を及ぼしかねない、かすかな非連続を察知することにチャレンジしなければならない。そのための手段やプログラムなど存在しておらず、ひたすら状況と接触し続けることでその観察力を研ぎ澄ますしかない」からです。

ここまで言えば概ねおわかりでしょうが、企業側として必要とされるのは、
「工芸家は、他人が見逃してしまうような事象を観察したり察知したりできるよう、訓練しなければならない。戦略のクラフティングにも同じことが要求される。
すなわち、何か事が起こりかけた時には、それを鋭く感知し、最大限活用できる
よう、多様な視点から観察できる能力を備えることである。」

【参考文献】
大多数 「ハーバード・ビジネス・レビュー」2003年1月号(ダイヤモンド社)
一部  ヘンリー・ミンツバーグ『マネジャーの仕事』(白桃書房)

■プロフィール
咲本 勝巳(さきもと かつみ)
eビジネス、組織論、経営戦略、創業、ベンチャー、現代思想にとても高い関心を持つマーケティングのコンサル屋。

大阪市立大学・大学院創造都市研究科アントレプレナーシップ研究分野「創業ア
ドバイザー」 http://www.gscc.osaka-cu.ac.jp/

関西ベンチャー学会 理事 http://www.kansai-venture.org/

関西SOHOデジタルコンテンツ事業協同組合 理事
http://www.kansai-soho.or.jp/

相変らず、人脈サイトorkut.comでお知り合いが増えていっているのですが、まだまだ新規登録の人達が増えていますので、最終的には200人くらいのお知り合いになるのではないかなあと予想しています。

6 digrees of separation(6次の隔たり)の議論、つまりは6クリックで世界中の人達と繋がるという話がありますが、これは大きな間違いで、劇作家のジョン・グエアがブロードウェイ上演で使い、そのヒット後に映画化されたことから普及したらしい。
社会心理学者のミルグラムがそのような研究はしていたが、「6次」ということは、決して言っていない。

実際、Webでのリンクは19次の隔たりがあるという。

そんな話が満載なのが、アルバート=ラズロ・バラバシ『新ネットワーク思考』です。

そういえば、KNN神田さんもどこかのコラムで、この本から「ベーコン指数」なるものを発見して紹介してたっけ。

私についてご興味のある方は硝子張り公開→ http://www.sakimoto.biz/

mailto:sakimoto@tokeidai.net
(2004/03/05)

2004/3/1 月曜日

インターネットによる情報発信

Filed under: eビジネス, 読書 — 咲本 @ 8:44:39

『日刊SOHOのツボ!』に掲載
http://www.soho-union.com/soho/

「SOHOによく効く書籍」(#004)
咲本@時計台ネット

【○】本日のお題「インターネットによる情報発信」━━━

みなさん、こんにちは!咲本です。

SOHOとしてやっていくためには、インターネットによる情報発信は欠かすことのできない点だと思います。

そこで今回はネット活用に利く書籍をご紹介いたします。

SEO検索エンジン最適化プロジェクト―検索エンジンからのアクセスを最大化させるWebサイト構築手法の導入と実践住 太陽『SEO検索エンジン最適化プロジェクト―検索エンジンからのアクセスを最大化させるWebサイト構築手法の導入と実践』


いくらご自身のホームページを立ち上げられましても、おこなっている事業に興味を持ってもらえる人達に多数来てもらえないと、その効果が出るかどうか以前の段階で終わります。

そのためには少なからずSEO対策の施されたホームページであるべきです。

本書はSEOをすすめていくのにあたっての実践手法が網羅されたものです。

これを読んでいきますと、HTMLの文法に忠実であったり、サイト設計がわかりやすかったりといったように、サイト構築の基本に忠実なることが何よりのSEO対策となることがわかってきます。

SEOについては、制作業者に限らず、ホームページで効果を上げようとされる全ての人が実践すべきことです。

しかし、いくらプロの制作業者さんにお任せされたとしても、そのような事柄を意識して制作してくれる業者さんは、ごく一部であると思います。

ご自身のホームページは、ご自身も勉強なさって、よりよいものとなるように努力すべきです。

ブランド・エンジニアリング片平 秀貴『ブランド・エンジニアリング』


書名からすると一般的なブランド論について述べられたように受け取られがちなのかもしれませんが、本書はホームページにおけるブランドづくりについて述べられたものです。

ホームページを見れば、その企業の経営姿勢やどのくらい効果を発揮しているのかが、ある程度わかってきます。

例えば、ハウス食品の「とんがりコーン」が好きだとして、新しい商品情報やウンチクを得ようとして、Googleで検索しましたら、1位に表示されるのは、ハウス食品のページではありません。

確かに2位で検索はされるのですが、これは2003年に発売された商品広報文のPDF
ファイルですので、他のページへ飛べるナビゲーションが全く表示されません。

で、仕方なく「ハウス食品」というキーワードで検索し、ホームページの中を探しましても、全く商品情報が出てきません。
http://www.housefoods.co.jp/

前2著から得られる視点からすれば、SEO対策がなされていないこと、特にフレームを使っているという致命的欠点を持っていること、「とんがりコーン」をブランドとして育てていこうという気は毛頭なく、ホームページをTVCFと同じ性質を持つ広告媒体としか考えていないことがわかってきます。

インターネットは儲からない!橘川 幸夫『インターネットは儲からない!』


一方で本書はインターネット時代の社会論とでもいえばよいものです。

著者は以下のように言ってます。

「インターネットは読む場所ではなく書く場所である。」
‥‥(中略)‥‥
インターネットが、これからの参加型社会のプロトタイプであるならば、この局面において、ビジネスになりうるのは、個人が全体に参加するための支援装置でしかない。

と書かれているように、インターネットは個人の情報発信にとても向いているのです。

そして、「つながりっぱなしの世界」と「参加型社会」というキーワードをベースに、これから来るべき近未来像を描き出されています。

また、SOHOにとって注目すべき発言は、

お金も同じである。僕たちは生活を営むためと、より豊かな生活を楽しみたいがために金銭目当ての労働を行う。とにかくどんな手段でもよいからお金を手に入れて、その次に、手にいれたお金で自分に「ごほうび」を与えるように贅沢をしたり、自分が「納得」するために使ったりする。でも、最初からお金を稼ぐための労働の中に「ごほうび」と「納得」が入っていれば、あとは生活を営むための収入が得られればいいのではないか。手段と目的の一体化は、企業レベルでも個人レベルでも、これからますます問われていくことになるだろう。

「手段と目的との一体化」・・・
これを目指してSOHOとなる人も多いのではないでしょうか?

このような近未来像を持って、ホームページ活用に臨みますと、更に力強いメッセージを発信していくことができるのではないかと思うわけです。

ちなみに、著者からその後に出された『暇つぶしの時代--さよなら競争社会』(平凡社)もおすすめです。

暇つぶしの時代-さよなら競争社会橘川 幸夫『暇つぶしの時代-さよなら競争社会』



次回は、「SOHOによく効く広報関連書籍」についてお話する予定です。

【プロフィール】
咲本 勝巳(さきもと かつみ)
1965年京都生まれ。京都在住。eビジネス、組織論、創業、ベンチャー、経営戦略、現代思想にとても高い関心を持つマーケティングのコンサル屋。

関西ベンチャー学会 理事 http://www.kansai-venture.org/

大阪市立大学・大学院創造都市研究科アントレプレナーシップ研究分野「創業アドバイザー」 http://www.gscc.osaka-cu.ac.jp/

起業・マーケティングによく効くメルマガ「週刊☆ビジマ」発行人
http://www.mankai.biz/

このようなコラムを書き始めた結果、結果的に読書量が少し増えたような気がします。

どうしてもビジネス書ばかりの読書では面白くないので、日本が誇る哲学者である故・廣松渉氏の『世界の共同主観的存立構造』(講談社学術文庫)を、再読したりしています。

それにしても、英語、ドイツ語、フランス語、ギリシア語が山のように散りばめられ、日本語かと思いきや、なぜ漢和辞典が必要な難しい漢字ばかり登場するのだろうか?
漢字用語の例をご紹介したいのですが、パソコンに入っている漢字かどうかさえ怪しいものばかりです(笑)

世界の共同主観的存在構造廣松 渉『世界の共同主観的存在構造』

私のことはWebでガラス張り公開中→ http://www.sakimoto.biz/
mailto:sakimoto@tokeidai.net
(ご意見・ご感想・ご提案お待ちいたしております)
(2004/03/01)

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