ホテルモントレのブルー・オーシャン戦略1/2
5月8日の東京出張の際に宿泊したホテルモントレ銀座のことについて忘れてしまわないうちにメモしておくことにする。
創業から20年にして現在全国15箇所に施設を持つまでに成長し、いずれも個性的な西欧風の建物であるこのホテルグループのことが気になっていたので、この機会に宿泊してみることにした。
泊まったのはホテルモントレ銀座で有楽町駅から銀座柳通りをまっすぐ数分歩いたところにフランスのアパルトマンをイメージされたこの小洒落た外観を持つホテルがあった。

モントレグループのホテルは全て西欧のどこかの国の建物をイメージされたコンセプトで作られるので、一般的なビジネスホテルとは明らかに一線を画した雰囲気を持っている。
これは建物内部や客室にまで一貫していて、旅が非日常的な体験であるとするならば、その演出をすることに大いに貢献してくれるともいえる。
例えばエレベータの階数表示も針が動いて数字を指し示すようなものとなっていて、そこにうっすらと聞こえてくるBGMはフランスの古い音楽であったりする。
客室はツインの角部屋でデラックスツインとの扱いだったため一般的な客室よりは少し広めのところに宿泊することとなった。(おそらく25平米くらい)
通常のシングルルームとなるとかなり狭いらしいので、そんなことはあとでわかったのであるがラッキーであった。


写真のように客室内も壁の色や窓の形、家具デザインなど、ひと味違った雰囲気を持っている。
しかもデザインが西欧風といったことだけにとどまらず、以下の写真のように注目すべきところがある。

まず浴槽が前日泊まったホテルニューオータニとほぼ大きさが同じで、一般的なビジネスホテルにはない広さであるから、十分に足を伸ばして入ることができる。
ちなみに浴槽の材質はプラスチックではなくて陶器でできており、まわりもタイル貼りなので高級感がある。
となりの化粧室部分も大きく高級感がある。
その化粧室に置かれているアメニティも、ビジネスホテルとは思えないほどの充実ぶりで見た目の色合いもきれいな感じがする。
とりわけ女性にはウケがよいことだろう。

ひとつひとつをよく見ると決して高級なものではないのだが、見るからにかわいらしく洗練されている。
そのほか、西欧風のイメージを壊しかねない浴衣は用意されておらず、その代わりにパジャマとバスローブが置かれている。
ビジネスホテルには普通はバスローブまで用意されていることはないのでは?

あと、写真ではわかりにくいのであるが、床はこげ茶色のフローリングとなっているので、それだけでも一般的なホテルとは随分雰囲気が違って感じる。
ホテル内の飲食店としてはフランス料理店があり、個室が用意されていたりランチとディナーのコース料理が楽しめたりと、こういったところまで徹底してフランス風をとおしている。
もちろんインターネット環境も全室用意されている。
なかなか他のホテルではないスタイルだ。
このとても気になるホテルについて私なりに考えてみることにした。
まず普段ビジネスホテルに宿泊する女性客層に対してリゾートホテルのコンセプトを取り入れたホテルの雰囲気を味わってもらえるようにする。
まあ簡単にいえば女性が「まあ、かわいくてオシャレなホテル!」と喜んでくれることを目指すということだ。
格好をつけた言い方(失礼!)をホテルモントレグループの記述から引用すると、
■ホテルモントレグループの信条
ホテルモントレは1986年の開業以来各地に個性豊かなホテルを展開して参りました。建物のコンセプトは、世界各地の歴史や風土を元に数々のヒントを得てデザインし、有名な都市景観賞など数多くの賞をいただいております。また、インテリアもアメニティー性を重んじ、常にやすらぎの空間作りに心がけ、ロマンチシズムや、夢のある雰囲気が、他のホテルにないモントレスタイルだと言われております。そして、常に心地よい、ゆったりとしたひとときを楽しんでいただけるよう真心のこもったサービスを心がけ、お泊りいただいたお客様はもとより、宴会などに、ご利用いただいた皆様からも好評を得るべく努力しております。 私達は、ホテルを通じて生活の喜びと潤いのあるサービスを提供し、地域社会に貢献出来ることをモットーに進んで参ります。
となる。
しかしリゾートホテル並のクオリティを追求してビジネスホテル並の価格(8,000円〜18,000円くらいまで)で提供すれば採算が取れないので、内装や装備は表向きには豪華に見えるように振る舞いながら、中身は徹底的にコストダウンをはかっているのだ。
ルームサービスを充実させるわけにもいかないので、そちらも省略。
豪華な異質空間との演出に貢献するもの:フローリングの床、バスローブ、浴槽の大きさ、アメニティのかわいらしさと種類の多さ、家具、絵、暖かみのある自然色の壁の色、窓の形・・・
演出する中で工夫次第で安く上がるもの: フローリングの床、バスローブ、アメニティのかわいらしさと種類の多さ、家具、絵、暖かみのある自然色の壁の色、窓の形・・・
と、センスと工夫でコスト的にはかなり絞っていける余地が実は大いにあるわけである。
余談ではあるが、センスと工夫の余地ということでいえば、ホテルのWEBサイトもFlashを多用してそれなりの雰囲気を演出していこうとされていることがうかがえる。
http://www.hotelmonterey.co.jp/
考えてみれば、ラブホテルを経営するつもりになるのであれば、建物や客室についていかに豪華で魅力的なものにしようかと知恵を絞りながらも、コストがかさまないようにする工夫の余地はないだろうかとなるはず。
この発想をビジネスホテルの分野でフル活用すれば、このホテルのようなものになるのだろう。
では一般的なビジネスホテルがなぜこのような面白味のあるものとはならないのだろうか?
それは未だに
ビジネスホテル→安さが求められる→安物ワンルーム賃貸マンションの発想でホテルを建てる→バスルールはあるだけで十分でしょ→アメニティなど「カット」できそうなところは全てカット→要はいかにコストカットするか「だけ」を徹底的に考えていく
ということにしかならないからだろう。
そのようなニーズも確かに存在はするが、これでは宿泊料の安さだけの激しい競争に巻き込まれることにしかならず、あとになって慌ててそれではダメだと気づいていかにも貧乏くさい付加サービスを始めてみたところで、客側には全く魅力的に映らないがゆえに大した効果も見込めず、その結果、「激安」と「貧乏くさい付加サービス」とを繰り返し続ける無限ループに陥ってしまったりするのである。
そもそもリゾートホテルのような豪華でオシャレな雰囲気がいくら好きであったとしても、若い女性でいつも高級ホテルに泊まれるだけの経済的余裕を 持ってい る人達は例外的な存在であって、価格がこなれていながら高級な雰囲気を持っているホテルという切り口は、競争のない世界、すなわちW・チャン・キムのいう「ブルーオーシャン戦略」の実践ともいえるものなのであった。
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ホテルモントレのブルー・オーシャン戦略2/2…
そもそもリゾートホテルのような豪華でオシャレな雰囲気がいくら好きであったとしても、若い女性でいつも高級ホテルに泊まれるだけの経済的余裕を 持ってい る人達は例外的な存在 (more…)
トラックバック by マーケティング・クラフティング — 2006/5/13 土曜日 @ 9:38:57