■クラフティングとは?
ヘンリー・ミンツバーグ氏の論文「戦略を工芸制作する」に由来しています。(『人間感覚のマネジメントー行き過ぎた合理主義への抗議』所収)
氏の論文を引用してクラフティング(工芸制作)をご説明しますと、
だれかが戦略を工芸制作(クラフティング)しているところを想像してみよう。まったく違ったイメージが湧いてくるはずだ。計画立案との違いは、工芸制作と機械生産の違いに匹敵する。工芸とは伝統的技能、献身、細部への精通による完璧などのイメージを呼び覚ます。思い浮かぶのは思考や理性よりもむしろ没入、手もとの素材に関する親密で調和のとれた感覚といったもので長い経験と傾倒から育ってくるべきものである。編成と実施が流動的な学習過程で融合し、そのなかから創造的な戦略が徐々に発達してくる。
わたしのテーマは単純である。工芸制作のイメージを用いるほうが効果的な戦略が生まれ出てくる過程をとらえやすいというものである。文献を通じて長らくポピュラーだった計画立案的イメージはそうした過程を歪曲し、疑わずにこれを受け入れた諸組織を不当に惑わせる。(中略)
わたしのメタファーにおいては、マネジャーは工芸家であり、戦略は粘土である。陶芸家にも似て、彼らは企業能力という過去と市場機会という未来のはざまに座っている。もし彼らが真に工芸家であれば、手もとの素材についての深い知識を負けず劣らず仕事に持ち込むであろう。こうしたことが戦略の工芸制作の本質である。(p.39-41)
以上がクラフティングという概念であり、私もそのような構えからコラムを書いていきたいと考えるわけなのです。
■マーケティング・クラフティングとは?
これは私が作った造語です。
「戦略をクラフティングする」ということがミンツバーグ風だとすれば、「マーケティングをクラフティングする」というのは咲本風ということになります(笑)
ビジネススクールを筆頭に従来よくあるマーケティングの講義では、計画立案(プランニング)に偏る傾向が顕著でした。
このプランニングに偏ったマネジャーのふるまいについて、ミンツバーグは
だれかが計画立案(プランニング)しているところを想像してみよう。おそらくまず心に思い浮かぶのは、秩序正しい思考のイメージだろう。上級マネジャーが一人またはグループでオフィスに座って、やがてスケジュールに合わせて残りの全員が実施することになる進路を編成している。その基調は理性ーー合理的統制、競争相手と市場についての、そして会社の長所と短所についてのシステマティックな分析、これらの分析を結合することによる明瞭で、明示的で、網羅的な戦略の作成ーーである。
と説明しています。
このようなプランニング的立場、すなわちマーケティングを機械生産的・合理的・分析的に「策定」することを全否定するつもりはありません。
しかし、マーケティングをクラフティングする立場、すなわちプランニング的な見解も視野に入れながら工芸制作的・創発的なプロセスを重視してバランスをとっていったほうが現実的なのではなかろうかと考えるのです。
では実際、マーケティングをクラフティングする具体的な姿とは、いったいどのようなものなのか?これにお応えできるようなコラムを書いていく予定です。
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さてどうなることやら、みなさんお楽しみに!
マーケティング・コンサルタント 咲本 勝巳









