【作家インタビュー】vol.30 アーティスト 奥見伊代さん

【作家インタビュー】vol.30 アーティスト 奥見伊代さん
【作家インタビュー】vol.30 アーティスト 奥見伊代さん

作家インタビュー vol.302021.09.02

アーティスト 奥見伊代さん

CRAFTINGをご覧いただいている皆様、こんにちは。

今週は、「童話のような世界を楽しむ 糸と針で描くイラスト刺しゅうのレッスン」を
ご紹介いただいている、奥見伊代さんの
第一回目の取材となります。

刺繍糸を使って絵を描こうと思ったきっかけからお伺いしました。

絵を描く感覚と同じように刺せることを知って

「大学でファッションデザインを専攻していたのですが
その時にクラスメイトが刺繍をしていたのを見て、
私もやりたい、と自分で制作した服に刺繍をしたのがきっかけです。

技法が多く、難しいイメージでしたが
絵を描く感覚と同じように刺せることを知り、
そこから、絵としての刺繍に興味を持つようになりました。

刺繍で描く魅力は、時間がかかる分糸の重なりや流れに
気持ちや積み重なった時間が感じられるところだと思っています。
ちょっと立体的でつやつやしているところも…」

個展『decorative』2021

絵を描き始めたのはいつ頃からなのでしょうか?
また画材に色鉛筆を選んだ理由はどんなところか、お伺いしました。

刺繍で描くときの感覚に、色鉛筆が近かったから

「子どもの頃から絵を描くのは好きで、こちょこちょ描いていましたが
ベースとなるイラストレーションを学んだら、もっと広がりが出るかもしれないと思い
卒業後アトリエのような学校で絵も勉強し、その時に色鉛筆でも描くようになりました。

色鉛筆を選んだのは、刺繍で描くときの感覚に近かったからです」

奥見さんにとって、「絵」とはなんでしょうか。

自分以外の世界とつながるため、その手段が「絵」

「正直まだはっきり分からないのですが…
ひとつあるのは、自分以外の世界とつながるための手段でしょうか。

あと、ずっと続けていると困ったときは自分の絵が助けてくれるよ、と
昔、絵の先生がそのようなことを仰っていたのですが
まさにいつも助けられています」

個展『decorative』2021

学生時代、お気に入りの絵本や画集などはありましたか?

安野光雅さんの「旅の絵本」がお気に入り

「学生時代というより、子どもの頃から
安野光雅さんの「旅の絵本」がお気に入りでした。

この本は、馬に乗った旅人がいろんな国を旅するのですが
言葉はなく、絵だけでどんどん進んでいきます。

ストーリーはありませんが、街並みやそこに暮らす人たちが細かく描かれていて
その絵からはその人たちの生活が伺え、自由にお話を空想しながら楽しんでいました。

また、遊び心がいっぱいで、隅から隅までじっくり眺めていました。

あとは図鑑でしょうか。

動物や植物や星座、宇宙、おもちゃ、色々な図鑑を眺めていました」

個展『sanctuary』2020

奥見さんの描いていらっしゃる奥深い世界が少しずつ見えてきた気がします。

◆作家プロフィール 奥見伊代さん

京都造形美術大学ファッションコース在学中に刺繍と出合う。

絵としての刺繍の表現に興味を持ち、卒業後イラストレーションを学ぶ。

現在は、刺繍糸や色鉛筆を使った物語性の豊かな作品を制作発表している。

インタビューのはじまりに、奥見さんから
「もし可能なら『刺繍』という漢字の表現が使えると嬉しいです」
とのお話しがありました。

美しい、飾るという意味もある、「繍」という漢字が
私には奥見さんの世界と重なるような気がしましたので
CRAFTINGマガジンでは普段「刺しゅう」という表現を用いているのですが、
今回は漢字の「刺繍」という表現でお届けさせていただきました。

来週もどうぞお楽しみに!


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